2023.04.03 調査・統計
通信教育市場が拡大、2年連続の増収も競合激化で利益率は低下
(株)東京商工リサーチがこのほど発表した『通信教育事業者の動向調査』の結果によると、コロナ禍の巣ごもり需要で市場は拡大、リスキリング支援も追い風になっている。前年に引き続いて2年連続で増収だったが、競合激化などによる利益率低下の現象もみられた。

売上高合計は前年比2.8%増の3601億900万円
社会教育通信業、通信教育事業や通信講座の運営を手掛けている主な企業を抽出。2022年1月期~12月期の決算を最新期決算とし、売上高と最終利益(もしくは売上高と最終利益のいずれか)が判明した118社を対象とした。
教室などの施設を持たず、オンラインなどを主体とした73社の最新期決算は、売上高合計が前年比2.8%増の3601億900万円で、2年連続の増収となった。一方、利益合計は18億8800万円の赤字に転落。赤字企業率は31.8%で、前期(25.6%)より6.2pt悪化した。
コロナ禍の影響もあり、自宅でも手軽に習得できるeラーニング需要が高まり、資格取得や語学、趣味などの通信教育の市場が拡大している。「非接触型」が受け入れられるとともに、政府が後押しする人材開発のリスキリング支援の追い風にも期待がかかる。一方で、競合や低価格、初期投資の負担などで逆に収益は悪化し、採算確保の難しさも浮上している。
通信教育業界は売上高5億円未満の事業者が66.0%、資本金1000万円未満も51.6%と小規模事業者が中心で、売上高100億円以上の大手は5社にとどまる。増収企業は43.1%で、減収企業を7.9pt上回った。増収企業の構成比は、前期と比べ3.3pt落ち込んだが、2年連続の4割超えで減収企業を約8pt上回り、堅調ぶりを継続している。
採算割れの企業が増加
損益別の構成比では、最新期は黒字が68.1%に対して赤字が31.8%だった。赤字企業率は前期(25.6%)から6.2pt上昇し、3年間で初めて3割を上回った。プレイヤーの増加とともに、事業計画通りの受講生を確保できず、採算割れに陥る企業が増えている。
最新期の売上高別(112社)では、最多が売上高1億円未満の48社(構成比42.8%)。次いで、10億円~50億円未満が27社(同24.1%)、1億円~5億円未満が26社(同23.2%)と続く。売上高5億円未満の小規模企業が74社(同 66.0%)で、6割以上を占めた。
一方、100億円以上は5社(同4.4%)。売上高の最大は(株)ベネッセコーポレーションの1894億2100万円で、2位の(株)ユーキャン(380億3482万円)を大きく引き離した。資本金別の最多は100万円未満の34社(構成比28.8%)で、1千万円未満が61社で同51.6%を占めた。
業歴別では、10年~50年未満が最多の62社(構成比52.5%)で、50年~100年未満が37社(同31.3%)、5年~10年未満が13社(11.0%)。2000年代の創業が54社と半数近くを占め、通信インフラの整備とともに創業した企業が多い。一方、業歴50年以上の企業は、公益法人や一般社団法人が運営する特定のジャンルの教育支援などが中心となっている。
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