2022.05.23 行政情報
「優越的地位の濫用」監視を強化へ、公取委が「優越Gメン」を発足
公正取引委員会はこのほど、独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に関する執行体制のさらなる強化を図る観点から、「優越Gメン」の体制を発足させた。優越的地位の濫用に対する緊急調査などを実施し、必要に応じて関係事業者への立ち入り調査を担う。

「優越Gメン」による立入調査も
内閣官房と関係省庁横断で、昨年末に取りまとめた「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」に基づく対応。円安や資源・原材料高による「価格転嫁」は中小企業にとって重要で緊急の課題。同パッケージは、労務費やエネルギーコストなどの上昇分を適切に転嫁できるよう、業種別の法遵守状況を点検する新たな枠組みだ。
公取委はその一環として2月、独禁法上の優越的地位の濫用に関する緊急調査や、大企業とスタートアップとの取引に関する調査、荷主と物流業者との取引に関する調査などを目的に、「優越的地位濫用未然防止対策調査室」を設置した。
緊急調査は、生活・暮らしを支え、豊かにする各種商品を製造・販売する生活関連のサプライチェーンを構築している22業種を選び、年度内に実施。結果を公表するほか、取引価格への転嫁拒否が疑われる事案には、「優越Gメン」による立入調査や、関係事業者に具体的な懸念事項を示した文書送付などの取り組みをさらに強化したい考えだ。
原料価格などの上昇を反映しない取引は「優先的地位の濫用」に該当も
個社ベースで違法行為を摘発してきた公取委が、政府横断の取り組みとして業界単位の調査など行うことは、政策としての取り締まり執行の強化にも活かされる。「Gメン」の呼称は、中小企業庁による専門調査員「下請Gメン」や、消費税の引き上げ時に公取委と中小企業庁が配置した「転嫁Gメン」などの例がある。
公取委によると、優越的地位の濫用規制(独禁法)は、取引上優越した地位にある事業者が、取引の相手方に対し、正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えることを禁止している。一連の取り組みで、労務費や原材料費、エネルギーコストの上昇を価格に反映しない取引は、優越的地位の濫用にあたるおそれがあることを明確化し、周知徹底する。
地位が優越しているかどうかは、取引の相手方の行為者に対する取引依存度、行為者の市場における地位、取引の相手方にとっての取引先変更の可能性など、行為者と取引することの必要性を示す具体的事実を総合的に考慮して判断する。
「優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方」の再改正を視野に
近年は各種のデジタル技術、デジタル関連サービスなどの発達を背景に、さまざまな事業分野で寡占化が進んでいる。EC関連企業とは、デジタルプラットフォーム運営事業者の取引上の地位は利用事業者、消費者にとって優越する場合があるなど、独禁法と競争政策上の考え方の共通理解を深めてきた。
公取委は、これまでのオンラインモール・アプリストア事業者の取引慣行などに関する調査や運用実績、さらに下請法の「買いたたき」に対する考え方などを参考に、垂直的な取引の適正化について、より正面から取り組んでいくため、「優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方」(2010年策定、17年改正)のさらなる改正を視野に入れている。
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