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2021.12.27 行政情報

3月は「アフィリエイトウィーク」に…2021年の行政動向を総括

2021年にはアフィリエイト広告の取り締まりが本格化。これと歩調を合わせるように、消費者庁はアフィリエイト広告の健全化に向けた検討に乗り出した。消費者トラブルを防ぐために、通販をターゲットにした法律の制定や改正も話題に上った。21年の健康食品業界に関する行政動向を総括する。


 消費者安全法による注意喚起を実施(21年3月1日)

初のアフィリエイト広告に対する注意喚起


 消費者庁の内部では、21年3月の第1週を「アフィリエイトウィーク」と呼ぶ声があった。というのも、消費者庁にとって初のアフィリエイト広告に対する行政処分や注意喚起が続いたからだ。

 消費者庁は3月1日、(株)Libeiroと(株)シズカニューヨークの化粧品のアフィリエイト広告に対し、初の消費者安全法による注意喚起を行った。シミが数日間で消えるなどと、事実と異なることを表示していたという。

 消費者政策課財産被害対策室の担当官は、「効能効果は誇大であると確認した。体験談もアフィリエイターがつくったものだった」と説明。つまり、アフィリエイト広告はウソで塗り固めた内容だった。さらに、2商品のアフィリエイト広告は、同じアフィリエイターが作成したものだった。

アフィリエイト広告の取り締まりに本腰


 3月3日には、アフィリエイト広告に対する景品表示法の措置命令が出された。これも、消費者庁にとって初の取り組みとなった。

 問題となったのは、(株)T.Sコーポレーションが販売する育毛剤のアフィリエイト広告。根拠もなく、「たった2カ月で髪がフサフサになったんです!」などと標ぼうしていた。

 景表法による取り締まりは、誰が広告内容を決定したのかが問われる。表示対策課によると、この事件では販売会社が「自らアフィリエイト広告の内容を決定していた」ことが判明。アフィリエイト広告で事実と異なる効果をうたって、自社の販売サイトへ誘導していたという。


 定例記者会見で説明する消費者庁の伊藤長官(21年3月4日)

11月にもアフィリエイト広告を悪用した2社に措置命令


 また、3月4日には消費者庁の伊藤明子長官が定例記者会見で、アフィリエイト広告の実態把握調査を実施する計画を明らかにするなど、アフィリエイト広告への対応を強化していった。

 消費者庁は11月9日にも、アフィリエイト広告を悪用して健康食品のネット通販を展開していた2社に対し、景表法に基づく措置命令を出した。

 2社は(株)アクガレージとアシスト(株)。健康食品を販売する際に、アフィリエイト広告などで「バストアップサプリメントです」、「巨乳になっちゃう!?」といった大げさな表示を行っていた。表面上はアシストが販売していたが、実務は2社が共同で行っていた。

アフィリエイト広告検討会、広告主による管理の強化など検討


 取り締まりの強化と並行して、アフィリエイト広告の健全化へ向けて消費者庁は「アフィリエイト広告等に関する検討会」を設置し、6月から議論をスタートさせた。

 検討会では、広告主、ASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダー)、アフィリエイターのそれぞれに求める取り組みを模索。これまでに国民生活センター、日本広告審査機構、楽天グループやアマゾンジャパンといった業界関係者からヒアリングを重ねてきた。

 11月26日の会合では、悪質なアフィリエイト広告を排除するための方向性が示された。大きく分けて「法執行による対応」と「広告主による自主的管理」があるが、広告主の自主的な取り組みの強化が中心となりそうだ。

 対策の“目玉”は、アフィリエイト広告に「広告」である旨を明記させるという取り組み。現行は、アフィリエイト広告の内容が公平な立場にある第三者の評価なのか、それとも広告主が資金を出している「広告」なのかが不明。そこで、アフィリエイト広告に「広告」である旨を明記し、さらには広告主の企業名も記載させる案が浮上している。

不適切なアフィリエイト広告を迅速に削除・修正する取り組みも


 加えて、消費者から苦情が寄せられた場合に、不適切なアフィリエイト広告を迅速に削除・修正する取り組みも有力視されている。実施に向けて、広告主に対し、消費者からの苦情を受け付ける連絡窓口の設置を求める考えだ。

 法執行に基づく対応については、景表法による取り締まりの強化が軸となる。広告主だけでなく、広告主と一体となって通販事業を行った出資会社やコンサルティング会社などにも法を適用する考えだ。

 一方、アフィリエイターやASPにも法の網をかけられるように、景表法を改正する案については見送る方向にある。同検討会は12月中に結論を出す予定だったが、各委員の意見を十分に調整するために22年1月にずれ込むこととなった。

改正特商法が公布、定期購入トラブルの解消へ


 21年の重要なトピックスに、特定商取引法の改正がある。通販の定期購入契約をめぐる消費者トラブルを防止するため、抜本的な施策が盛り込まれた。改正特商法は6月16日に公布され、来年6月までに施行される。

 定期購入トラブルは、「お試し価格500円」などの広告を見て健康食品や化粧品を申し込んだものの、実際は複数回の購入が条件で高額な料金を請求されたというもの。相談件数は20年に約5万9,000件と過去最高を記録。21に入っても高水準で推移している。

 改正特商法の定期購入対策の柱は、(1)直罰化の導入、(2)申し込みの取消権の創設、(3)契約解除の妨害行為の禁止。

 直罰化の導入により、従来の業務停止命令や業務禁止命令といった行政処分のほか、刑事罰(罰金・懲役)を直接科すことが可能となる。悪質業者への抑止効果が期待される。

 申し込みの取消権は、消費者が定期購入とは知らずに申し込んだ場合に、取り消しを認めるというもの。通販の申し込み最終確認画面に義務づける表示が欠落していたり、消費者を誤認させる表示を行ったりした場合に適用される。

消費者による契約解除の申し出を妨害する行為を禁止へ


 また、販売業者に対して、消費者が契約解除を申し出た場合に、妨害する行為を禁止する。「いつでも解約可能」と広告しながら、消費者が契約解除を申し出ると、「申請期間外なので解約できない」などと嘘の説明によって解約させない事例に対応した措置だ。

 消費者庁は、通販の申し込み最終確認画面(または書面)に関するガイドライン(案)も公表済み。申し込み最終確認画面や申し込み書面に記載を義務づける表示項目として、「分量」「販売価格」「支払の時期・方法」などの6項目を挙げた。

 このように改正特商法は、悪質な定期購入契約に対して厳しい規制を敷いた。来年6月の施行を境に、健康食品や化粧品の定期購入トラブルがどの程度減少するのかが注目されそうだ。

デジプラ法を制定、運営事業者の努力義務を規定


 デジプラ法(取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律)の制定も、通販業界の大きな話題となった。これは、ショッピングサイトなどの取引デジタルプラットフォーム(DPF)の運営事業者(プラットフォーマー)を規制する新法。5月10日に公布され、22年5月までに施行される。

 取引DPFの利用でトラブルが発生しても、消費者は販売業者と連絡が取れなかったり、プラットフォーマーの協力を得られなかったりするなど、泣き寝入りするケースが後を絶たない。

 デジプラ法はそうした状況を改善するために、プラットフォーマーに対して努力義務を課した。努力義務とするのは、(1)販売業者と消費者の円滑な連絡を可能とする措置、(2)消費者から苦情を受けた場合に調査を実施、(3)必要に応じて販売業者に身元確認を求める――の3点。消費者庁は指針(案)を公表し、具体的な取り組み方法を示した。

 デジプラ法では、問題のある商品が出品された場合、プラットフォーマーに対して出品の削除を要請する権限を国に付与した。安全性に問題があったり、商標や資格などの表示が事実と違ったりした場合に適用する。

 また、トラブルに遭った消費者が販売業者に対して損害賠償請求を行う場合に、販売業者に関する情報の開示を請求できる権利を創設した。ただし、1万円超の債権がある場合に限定する。開示する情報は、氏名・住所・電話番号・メールアドレスなどとなる。

通販各社の自主的取り組みが重要に


 ネット通販の技術革新は目覚ましく、消費者トラブルも増加傾向にある。一方、行政の対応は後手に回っているのが現状だ。

 景表法や特商法による取り締まりが強化されるものの、マンパワーの面で摘発できるのは氷山の一角にすぎない。消費者被害を未然に防ぐためには、通販各社の自主的な取り組みがいっそう重要になるとみられている。

 (木村 祐作)






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