2026.10.20 行政情報
踊り場に差しかかったネット通販市場、商品カテゴリーで明暗も
総務省の家計消費状況調査によると、1世帯あたり(2人以上の世帯)のネットショッピングへの支出額は今年6月から3カ月連続で前年同月を下回り、インターネット通販市場の勢いは鈍化している。その要因については、物価上昇、ギフト市場の低迷、サイバー攻撃による影響など多くの動きが関係しているとみられる。
※総務省の家計消費状況調査を基に作成
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今春からネットショッピング利用世帯の割合が低下
今年1月~8月の家計消費状況調査の結果を振り返る。1世帯あたりのネットショッピングへの支出額を見ると、昨年に引き続き、今年に入っても1月が前年同月比7.3%増(2万6950円)、2月が同4.8%増(2万4967円)、3月が同9.4%増の2万8726円、4月が同6.2%増(2万7124円)、5月が同2.1%増(2万6606円)と、好調に推移していた。
ところが、6月、7月は前年同月の支出額をわずかながら下回り、8月には同1.4%減と3カ月連続で減少傾向が続いている。
また、ネットショッピングを利用した世帯の割合も、3月から5月にかけて前年同月と比べてわずかに低下。6月には同2.7ポイント減、7月は同2.4ポイント減、8月も同2.2ポイント減となり、低下の傾向が顕著となった。
一方、調査の対象月に1度でもネットショッピングを行った世帯に限ると、今年に入ってからも連続して前年同月の支出額を上回って推移している。
総務省の調査結果からは、今春を境にネットショッピング利用世帯の割合が伸び悩み、1世帯あたりの支出額も6月以降は低調に推移するなど、ネットショッピングをめぐる消費動向が踊り場を迎えている様子がうかがえる。
※総務省の家計消費状況調査を基に作成
JADMAに「購入顧客数の減少」「ギフト需要の低迷」の声
日本通信販売協会(JADMA)の月次売上高調査を見ると、会員企業の売上高は6月が前年同月比2.6%減、7月が同1.8%減だったが、8月には同3.9%増とプラスに転じた。「ただし、8月も売上が減少した企業が増加した企業を上回っており、必ずしも通販市場全体で需要が回復しているとは言い切れない」(JADMA)との見方を示す。
JADMAには会員企業から、購入顧客数の減少、ギフト需要の低迷、衣料品・家庭用品の販売不振、原料不足による販促活動の縮小などの声が寄せられているという。一方、商品カテゴリー別に見ると、健康食品や化粧品、高額商材などは好調に推移しており、カテゴリー・企業によって明暗が分かれていると説明する。
「物価高を背景に消費者が購入商品や購入時期を慎重に選ぶ傾向も考えられる。総務省調査と当協会調査は対象や調査方法が異なるため、単純比較はできないが、今後は売上高だけでなく、購入顧客数や受注件数の動向にも注視していきたい」(同)としている。
このほかにも、増加傾向にある通販サイトへのサイバー攻撃が市場に及ぼす影響も懸念される。特にランサムウェア攻撃を受けると、システムの復旧は容易でないため、アスクルの事例で見られるように、売上が従来の水準へ回復するまでには時間がかかる。
これに加え、原材料費・物流費・人件費の上昇に伴う相次ぐ値上げが、消費者の購買行動にどう影響するかも気がかりだ。商品単価は上昇するものの、購入商品数を絞り込んだり、購入回数を減らしたりする傾向が強まれば、市場の縮小につながる恐れもある。今秋以降の動向が注目される。
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