2026.10.08 行政情報
健康食品・化粧品の広告「こんな表現どうなの?」~第1弾
健康食品・化粧品の広告をめぐる問題は深刻な状況にあり、行政処分や行政指導が後を絶たない。9月29日に開催された通販通信ECMOセミナー「健康食品・化粧品の広告 こんな表現どうなの?~第1弾」では、薬事法広告研究所の稲留万希子代表をゲストに招き、「エイジングケア」「専門家の推奨」「ダイエット系」「造語」をテーマに、広告の留意点について考察した。
化粧品の「エイジングケア」表現
日本化粧品工業会の化粧品等の適正広告ガイドラインで、「エイジングケ」について「加齢によって変化している現在の肌状態に応じて、化粧品等に認められた効能・効果の範囲内で行う、年齢に応じた化粧品等によるお手入れ(ケア)のこと」と定義されている。
稲留氏は、「エイジングケア」の言葉を用いた“若返り”などの訴求は化粧品の効能効果の範囲を逸脱するとし、「あきらめないで!エイジングケアで若々しさが戻ります」といった表現はNGになると話した。
「エイジングケアで加齢に待った!」「エイジングケアで肌の老化を防ぐ」の表示も、加齢による老化の防止効果を意味するため、認められないと述べた。
また、健康食品の場合は、「アンチエイジング」の用語を用いた広告が散見されるが、これは抗加齢・抗老化を意味し、薬機法などに違反する恐れがあり、注意が必要となる。
専門家による推奨やお墨付きの表現
医師や薬剤師などの専門家による推奨は、消費者に対して訴求力が強いことから、インターネット広告で散見される。
しかし、化粧品では、医師・薬剤師・美容師、病院・薬局・学会などが推奨したり、指定したりする旨の広告が禁じられている。稲留氏は「事実であっても一律不可とされる」とし、「皮膚科専門医が推奨する美容液」「薬剤師がオススメのクリーム」「〇〇先生の処方をそのまま生かして開発」といった表現はすべてNGと指摘。「〇〇大学との共同研究」という表示も医薬関係者等の推奨に当たるため、化粧品では認められないと説明した。
一方、健康食品の場合はどうか。例えば、「糖尿病の専門医が推奨するサプリメントが誕生」「生活習慣病専門医〇〇先生の談『・・・』」「日本眼科学会が推薦!」といった表示は、すべてNGとなる。糖尿病など疾病名を出すと、疾病の治療・予防を目的とする医薬品的な効能効果の標ぼうとみなされ、無承認の医薬品の広告として薬機法に違反する恐れがあるためだ。医師や学会による推薦そのものがNGというわけではないが、その名称から見て、医薬品的な効能効果を想起させる場合は違法の恐れがあるという。
次に、化粧品・健康食品ともに、「厚生労働省認可」「経済産業省許可」といった表示は不可となる。健康食品の特定保健用食品(トクホ)は消費者庁長官が許可し、機能性表示食品は届出制のため、これらについても「〇〇省認可」といった表現は事実と異なり、違法の恐れがあると解説した。
さらに、「米国FDAも認めた」など、外国政府機関のお墨付きを意味する広告表現も散見されるが、稲留氏によると、「そもそもFDAはサプリメントや化粧品を販売前に承認していないため、承認されたかのような表示は事実と異なる」という。
セミナーでは、化粧品と健康食品でルールがやや異なる点にも言及。化粧品の場合は、医薬関係者等の推奨が事実であっても、推奨すること自体が不可となる。ただし、美容家などのケースでは直ちに違反ではないが、影響が大きい場合は法に抵触する恐れがあり、注意が求められる。
一方、健康食品の場合は、医師などの談話の引用が、医薬品的な効能効果の暗示になれば薬機法違反の恐れが生じる。また、健康保持増進効果等について著しく人を誤認させると、健康増進法・景品表示法に違反する恐れがあるため、注意を呼びかけた。
健康食品の「ダイエット系の表現」
健康食品のダイエット関連の広告に対し、これまでに多数の行政処分が行われてきた。東京都は2025年3月、健康食品のアフィリエイト広告で、運動・食事制限なしで著しい痩身効果を得られると宣伝した事業者に対し、景表法違反による措置命令を出した。
また、2017年には、機能性表示食品の広告で、サプリメントを摂取するだけで著しい痩身効果が得られると訴求した多数の事業者が景表法の措置命令を受けた。実際の実験データを見ると、食事によるカロリー摂取量の制限、1日あたり8000~9000歩の運動、BMI25~30の対象者という条件の下、体重が約1kg減、ウエストが約1cm減の効果(日常生活で起こり得る変動の範囲)が得られるというものだった。
消費者庁は「健康食品Q&A」で、「食事のコントロールも運動もせず、健康食品だけで安全に、楽に痩せることはありません」と断言。基本原則は「痩身=消費エネルギー量>摂取エネルギー量」のため、「1日に3粒飲むだけで楽に痩せられた」「好きなだけ食べてOK」といった表現は問題となる。
また、稲留氏は「脂肪を燃焼させる」の表現について、身体の組織機能の一般的増強を目的とする医薬品的な効能効果に該当し、医薬品の承認がなければ表示できないと解説した。人体に対する薬理作用によって痩せることを意味する場合は、医薬品と判断されることから、「体内に蓄積された脂肪等の分解、燃焼、排泄」の標ぼうは法違反になると述べた。
近年、健康食品の広告で、「食べた脂肪分を乳化・ミセル化して腸吸収を80%ブロック」「摂取しすぎた脂質と糖質を包み込み、便とともに体外に排泄」といった表現を見かける。しかし、これらもNGとなる。稲留氏は「食事で摂った脂質・炭水化物等の体内吸収を阻害し、体外に排出できる旨の表示は、健康増進法が禁止する虚偽誇大広告として削除等を求める、とする厚労省の指針がある」と話した。
健康食品の造語(〇活/健〇/快〇など)
健康食品の広告や商品名には、直接的な表現だけでなく、造語を用いることが多い。しかし、暗示的・間接的な表現であっても、健康保持増進効果等の表示に該当し、かつ著しく事実に相違または著しく人を誤認させるような場合は違法の恐れがある。
セミナーでは、造語の取り締まりについて、2007年の厚労省事務連絡や、22年の消費者庁「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」(改定)をターニングポイントに挙げた。
「〇活」の表現について、稲留氏は「言葉自体で即違反ではないが、医薬品的な効能効果の暗示になったり、根拠がなかったりすると違法の恐れがある」と指摘。「妊活」「腸活」については消費者庁の留意事項に、名称・キャッチフレーズで健康保持増進効果等を暗示する表示例として明記されているとし、著しく事実に相違、または著しく人を誤認させる場合は、健康増進法や景表法に違反する恐れがあると説明した。
「快視」「健糖」「楽節」「減脂」「圧ダウン」といった造語も、関連法令の規制を受けることから、使用しないよう呼びかけた。
今回のセミナーを通じて、化粧品・健康食品の広告を適正に運営するためには、用語や表現方法に注意を払うだけでは不十分で、広告全体から消費者がどのような印象を受けるのかについて吟味することが重要になると、参加者へ訴えた。
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