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通販通信ECMOニュース・記事調査・統計『このデータが面白い!』 【第5回】1世帯あたりのEC支出額の変化を知る

2026.03.04 調査・統計

『このデータが面白い!』 【第5回】1世帯あたりのEC支出額の変化を知る

(株)デジタルコマース総合研究所代表の本谷(もとたに)と申します。ECアナリストによる解説シリーズ 『このデータが面白い!』の連載を開始させていただき、早くも5回目となりました。今回のデータは総務省発表の「1世帯あたりのEC(ネットショッピング)支出額」です。


同省が毎月発表するこのデータはECMOでも都度取り上げられています。よってその存在を既にご存じの方は多いでしょう。1家計あたりどの商品カテゴリーがどれだけECで購入されているかを月単位で把握できるため、トレンドに沿って自社のEC戦略に役立てることができる貴重なデータです。


そこで当コラムではこのデータをカテゴリー毎に年単位で集計し、2021年から2025年までの5年間の推移を考察してみようと思います。これにより現状およびこれまでのトレンドを知ることができます。それでは具体的見てみましょう。


・対象データ

1世帯あたりのEC(ネットショッピング)支出額(総務省統計局家計消費状況調査)

https://www.stat.go.jp/data/joukyou/12.html

※同ページの「インターネットを利用した支出の状況」において「平成29年以降の月次結果(二人以上の世帯)」のExcelファイルを参照


・対象期間

 2021年1月~2025年12月


【全体】 2025年は+9.6%だが実質+6%台と予想

まずは全体の数値を見てみましょう。ここでは「ECでの物品購入」を対象としました。総務省発表のデータには物品以外に「旅費」「チケット」「デジタルコンテンツ」「ギフト」が含まれています。それらを除外することで、純粋に自分のためにECで購入した物品の全体額にフォーカスすることができます。


2025年の1世帯あたりEC支出額は167,801円でした。前年比+9.6%であり、2021年から2025年までの年平均成長率は5.2%となります。毎年の伸び率は1.4%、4.8%、4.9%、9.6%であり、EC支出の伸び率が徐々に増えていますので、年を追うごとにECで買い物を行う消費行動が強まっているように思われます。


ただし、ご承知のように近年物価高騰が消費者を直撃しています。ECでも例外ではありません。政府発表の2025年の物価上昇率は3.1%でしたので、その分を差し引いて数値を捉えるべきでしょう。とはいえ差し引いても6%台の伸び率になりますので、やはりEC市場は成長していると考えてよいのではないでしょうか。



【食品】 2025年は+13.6%と大きく増えたが物価上昇が押し上げ要因に

食品の2025年の1家計あたりEC支出額は61,923円となりました。前年比+13.6%であり、2021年から2025年までの年平均成長率も8.7%と高い値となっています。食品は最も高い伸び率を示すカテゴリーとなっており、消費者ニーズが高まっていると推測されます。


一方、食品は物価高騰の影響を最も強く受けているカテゴリーであることを忘れてはいけません。これによって大きく押し上げられたと言っても過言ではないでしょう。全体の物価上昇率が3.1%ですので食品の物価上昇率は少なくとも数パーセントの後半ではないでしょうか。とすれば、食品のEC支出の実質的な伸び率は6%~7%あたりと私は予想します。


【アパレル】消費者によるECでの購入ニーズの高まりが鮮明化

アパレルの2025年の1家計あたりEC支出額は32,613円となりました。前年比+7.2%は全体値+9.6%より低い値ですが、2021年から2025年までの年平均成長率は+5.2%と、こちらは全体値と同じ値になります。


アパレルは2022年こそ+1.3%にとどまりましたが、その後は6%以上の伸び率となっています。アパレルも物価上昇の影響は小さくありませんが、食品ほどではありません。伸び率の推移から、消費者によるECでの購入ニーズが年々高まっていることがわかります。


【化粧品】コロナを契機にECシフトが進行

化粧品の2025年の1家計あたりEC支出額は11,411円となりました。前年比+6.2%は全体値+9.6%より低い値ですが、2021年から2025年までの年平均成長率は5.5%と、こちらは全体値+5.2%よりもやや高い値となっています。


化粧品はコロナが少しずつ落ち着き始めた2023年には、外出ニーズの増加から+9.9%と大きく伸びました。その際「ECで購入する」という消費行動が定着化し、今に至っていると予想します。裏を返せば、化粧品メーカー各社がコロナを契機にECシフトを強めていることに他なりません。また近年のQoo10の人気上昇も化粧品ECの伸びを支えています。


【家電】コロナの反動で伸び悩んだものの2025年はPCの買い替えニーズが下支え

家電の2025年の1家計あたりEC支出額は17,434円となりました。前年比+12.7%は全体値+9.6%を大きく上回ります。ただし2021年から2025年までの年平均成長率は+0.7%にすぎません。これは2022年の伸び率が-12.5%であったことに起因します。


コロナ渦で家電のEC需要が高まったことは記憶に新しいでしょう。2022年はその反動でマイナスになったという流れです。その後2023年、2024年は微増でしたが、2025年にEC支出が大きく伸びました。


2025年に伸びた主因は、Windows10のサポート終了に伴うPCの買い替えでしょう。また2019年に消費税が8%から10%に増税となった際、直前の駆け込み需要で家電が購入されたと思われますが、2025年はその買い替えニーズも多少あったのではと想像します。


まとめ

以上、全体値および食品、アパレル、化粧品、家電についてEC支出額の推移のデータを基に、カンタンですが考察を試みました。経年推移を見てみるとそれぞれカテゴリー毎の特徴が浮かび上がります。


今回はカテゴリー毎に年単位で集計しましたが、そもそも総務省発表の当該データは毎月無償で公開されています。年単位での変化のキャッチアップもさることながら、月単位での変化を前年同月比でチェックすることが可能です。例えばブラックフライデーの11月は10月と比較すると、EC支出は大きく伸びますし、前年の11月と比較すればブラックフライデーの売り上げがどれくらい伸びたのかも定量的に把握することができます。


このように月単位での変化を適切に捉えることで、タイムリーに打ち手を講じることができます。ECアナリストとしておススメのデータですので、ぜひ参考になさってください。


以上



【筆者プロフィール】

本谷 知彦(もとたに ともひこ)

株式会社デジタルコマース総合研究所 代表取締役  ECアナリスト


シンクタンク大和総研にて国内外の産業調査・コンサルティング業務にチーフコンサルタントとして従事。EC業界のスタンダードな調査レポートである経済産業省の電子商取引市場調査を2014年から2020年にかけて7年連続で責任者として手掛ける。その他日本政府の調査研究案件の実績多数。

2021年末に同社を退職し2022年初に株式会社デジタルコマース総合研究所を設立。EC市場の調査研究はもとより、豊富なデータに基づいた消費財のマーケット分析や事業戦略のアドバイス、および講演・執筆活動等を行っている。






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