2018.04.26 通販支援
急拡大する中国越境EC市場、日本企業はなぜ苦戦するのか?
通販業界では、成長著しい海外市場に目を向け、中国向けの越境ECを開始する通販会社が増えている。ただ、中国越境EC市場では、成功しているのは一部の知名度が高いメーカーや商品に限られ、市場に参入しても苦戦している企業も多い。こうした中国越境ECで苦戦する会社の駆け込み寺のようになっているのが、(株)トレンドExpressだ。同社が展開する中国越境EC支援サービス「越境EC X(クロス)」は、大手や中小メーカーの導入が進み、大きな成果が出ているという。同社のサービスから、中国越境ECで成功する秘訣に迫った。
中国で成功する越境ECのスタイルは?
通販業界では現在、多数の中国向け越境ECサービスが存在しているが、大きく分類すると、アリババグループのECモール「天猫(Tmall)」や「京東(JD.com)」に店舗を出店する「旗艦店モデル」、店舗を出店するのではなく、商品を卸す取り組みの「出品代行モデル」、同じく商品を卸すタイプの「モール委託モデル」の3つに分けられる。それぞれにメリットとデメリットがあるが、いずれも中国での認知度が必要で、中国で売れている実績に乏しいと、大手ECモールに出店・出品したとしても売上拡大は見込めないという。そもそも、大手モールの旗艦店は、中国市場で流通の実績があり、中国での知名度がないと出店できない。
こうした状況から、同社の濵野智成社長は「越境ECで売れるのは、すでに売れている商品で、これから売りたい商品はなかなか売れない。中国への越境ECは現在、気軽に参入できる市場ではなくなってきている」と語り、安易に参入することに警鐘を鳴らした。実際、大手メーカーなどでも、中国越境ECに参入したのはいいが、認知度不足で販売不振に陥り、同社に支援を求めるケースが増えているという。
トレンド創出で中国での認知度を拡大させるのが成功の近道
同社の越境EC支援サービスは、Weibo、WeChatなどのSNSやブログ、掲示板などのソーシャルビッグデータを分析し、中国でのトレンドを創出するマーケティングエコシステムが基盤となっている。中国で越境ECを開始するにあたり、まずは中国市場のトレンドや競合商品などを調査・分析し、戦略を決定する。その後、各種メディアでの情報発信により、認知を拡大させ、トレンドを生み出す下地を作る。さらにSNSやインフルエンサーマーケティングで、口コミ情報を拡散させ、トレンドを創出する。こうしたマーケティングプロセスを経て、適切なチャネルへの出品とプロモーションで販売拡大につなげる。
4月18日には、中国最大級のCtoCソーシャルコマースアプリ「微店(ウェイディエン)」と、日中間の越境EC事業で業務提携し、「微店」の45万店舗のソーシャルバイヤーを活用した販路を構築した。また、物流代行なども行っており、中国市場でのマーケティングからプロモーション、物流代行などの出品業務まで、トータルでサポートしている。
30万個の商品在庫が「京東」で売り切れに
同サービスの成功事例は多数あり、某消費財メーカーのアームカバーは、中国では無名だったのだが、ソーシャルビッグデータによる分析で明らかになったセールスポイントを記事コンテンツに反映させてPRを配信したところ、クチコミが一気に拡散して売上が急増。PRのリリース後、30万個の在庫が「京東」で売り切れ、「売り切れ大王」のあだ名がつくほどのブームを巻き起こした。
また、「天猫」に旗艦店を出店している三越伊勢丹では、11月11日(独身の日)に向け、データ分析結果からプロモーションインサイトの発掘とメディア配信、インフルエンサーマーケティングなどを実施。同社による施策前と比較して、旗艦店の訪問客が300%以上に伸び、売上も大幅にアップした。
国内市場でも、市場分析をおろそかにしてECを開始すると、いずれ売上が伸び悩むことが多い。市場への理解が薄い中国市場であれば、なおさらのこと、市場分析やマーケティングはより重要になる。ブームに乗って中国越境EC市場に参入したのはいいが、伸び悩んでいる通販会社は、まずは基本に立ち返り、市場分析から始めるのがいいかもしれない。
(山本 剛資)
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