2026.10.15 コラム
服のパーソナルスタイリングサービスが拡大!同行型や来店型、オンライン活用も
ベテランスタッフやスタイリストが、個別にファッションのパーソナルなスタイリングを提案するサービスが増えている。事前のオンライン予約で顧客のニーズを把握し、来店後店舗で行うものから買い物同行まで、アパレル各社などが本腰を入れ始めた。体験型サービスを通じ、新規客の開拓や顧客との関係性構築を狙う。
ルミネはスタイリスト同行サービスを開始
ルミネは2026年10月から、AIカメラによるパーソナル診断とスタイリストによる提案を組み合わせた「ルミネパーソナルスタイリングサービス」を開始した。“似合う”を発見し“好き”とつなぐ体験型サービスで、骨格・フェイスタイプ・パーソナルカラーなど客観的な診断結果と、顧客との会話で吸い上げた好みやイメージをもとに、最適な服選びをサポートする。
“目玉”は、「ルミネスト」と呼ばれるルミネの認定スペシャルスタイリストが、ルミネ館内のショップを一緒に回りながら個別にスタイリングを提案する「同行サービス」だ。気に入った商品があればその場で購入することもできる。
同行サービスは2種類で、「ライトサービス」が80分・16,500円(税込)、「フルサービス」が180分・27,500円(税込)。いずれも事前に館内で、AIカメラを使い全身や顔を撮影する「骨格ボディタイプ」診断と「フェイス・パーソナルカラー」診断(計約10分)や、診断結果と要望を踏まえてスタイリングの方向性を提案するヒアリング(約10分)を実施。さらに「フルサービス」には、予約後にオンラインで好みのスタイルや着こなしの悩みなどをヒアリングする「事前カウンセリング」(約30分)が付く。実施店舗はルミネ新宿・ニュウマン新宿・ルミネエスト新宿となる。
同行サービスなしで、気軽にAIカメラ診断だけが受けられるサービスも同時にスタート。診断結果をもとに、スタイリストが似合うアイテムや素材、メイク、スタイルアップのコツなどを説明し、館内のおすすめショップも紹介する。所要時間は約30分で料金は3,300円(税込)。ルミネ有楽町など5店舗で実施する。
スタイリストがルミネ館内のショップに同行(出典:ルミネ)
ファストファッションや古着店、ECにも対応、自宅訪問での提案も
買い物同行には、すでに先行する他業種によるサービスもある。
テック企業のTyme Tech Labが運営する「ファッションアテンダント」が2012年11月から手がけるのは、ファストファッションやアウトレット、古着店など利用者が希望する幅広いショップにアドバイザーが同行するサービス。実店舗だけでなく、ECショップでの服選びにも対応している。
コースは大きく分けて3種類。ECサイトで服選びを行う手軽な「LINEビデオ通話コース」は、事前リサーチ(30分)とビデオ相談(45分)の計75分で料金は9,000円(税別)。気になる商品のURLやスクリーンショットを事前に共有し、アテンダントがリサーチ後に通話するので相談時間を有効に使える。
利用者は気になる商品を画面で提示したり、手持ち服を画面越しに見せたりしながら相談する。アテンダントは利用者の好みや着用シーンなどをもとに商品比較や着回し、手持ち服との組み合わせや買い足しをアドバイス。ECモールやセレクトショップ、フリマアプリでの古着や中古品の比較、海外通販サイトでの買い物もサポートする。
メインの「同行コース」はチャットヒアリングとショッピングから成り、最も短時間の「45分コース」はヒアリング(10分)と「ショッピング」(35分)で9,500円(税別)。「2時間コース」(税別12,000円)、「3時間コース」(税別18,000円)、「6時間コース」(税別36,000円)などがある。新たに割安な「学割コース」も設けた。
アドバイザーが自宅を訪問し、クローゼットの整理や服の断捨離をサポートする「自宅訪問コース」(120分・税別19,000円、事前のチャットヒアリング10分も含む)もある。残す服や処分する服を一緒に分別し、手持ちの服による組み合わせや着こなしもアドバイス。フリマアプリに出品する服の選び方や、価格設定ポイントもサポートする。
自宅訪問ではフリマアプリへの出品もアドバイス(出典:ファッションアテンダント)
テクノロジー活用しプロのスタイリストと顧客をマッチング
ファッションパートナーが運営する「スタイリスト」は、2019年7月から続くプロのスタイリストと顧客をマッチングするパーソナルスタイリングサービス。テレビやファッション雑誌などで活躍するスタイリストを多くそろえている。
テクノロジーを活用したマッチング分析で利用者のスタイルを事前診断し、相性度が高いスタイリストを上位から順に表示。利用者はそこから希望するスタイリストを選択して予約する。
料金は2時間で34,100円(税込)。利用者が希望するショップやおすすめのショップに同行し、購入アイテム選び、コーディネート提案などを手がける。試着によるサイズやスタイルの見立てや、直しのアドバイスにも対応する。
同行サービスとは別に、普段の服装やコーディネート、購入した服、これから買いたい服などをスタイリストがチェックする「オンラインスタイリング」(45分・税込11,000円)も実施。改善ポイントや組み合わせ、次に選ぶべき服を具体的にアドバイスする。
手持ち服を見直したい人の自宅をスタイリストが訪問し、クローゼット内をアップデートするサービス(3時間・税込50,600円)も展開。持っている服の診断やコーディネート提案、サイズやスタイルの見立て、断捨離や整理収納のサポートなどを行なう。
いずれのコースも終了後に、提案コーディネートが確認できるスタイリングレポートが提供される。
人気アパレル各社も店舗で無料スタイリングサービス
同行サービスだけでなく、アパレル店舗内でのパーソナルスタイリングサービスも活況だ。こちらは各社とも無料で提供している。オンライン購入が広がる一方で自分に合う服やコーディネートを見つけたいとのニーズは高いため、実店舗スタッフの専門性や接客力を武器に顧客の囲い込みを図る。
ユナイテッドアローズは2026年9月より、予約制の「パーソナルスタイリングサービス」で対象ブランドとサービス提供エリアを拡大した。同年2月に始めたサービスで、熟練販売スタッフによるカウンセリングを通じて顧客一人ひとりの好みやライフスタイルなどに対応。予約フォームを通じて事前に顧客ニーズを把握し、当日はヒアリングを行いながらパーソナルな提案を行う。
9月からは、従来の「ユナイテッドアローズ」にさらに5ブランドを加えて拡大。当初の21名体制のスタッフも56名体制へと大幅に増やした。サービス開始後は既存客だけでなく新規客の利用も増加し、継続利用や再来店につながっているという。
今年9月からサービスを拡張した(出典:ユナイテッドアローズ)
アンドエスティHDグループで40以上のブランドを展開するアダストリアは2026年4月、かねてより実施していた40~50代女性向けブランド「Elura(エルーラ)」の店頭パーソナルスタイリングサービスをアップグレードした。2021年9月から7店舗で展開していた事前予約サービスで、スタッフが60分かけて利用者からマンツーマンでヒアリングし、商品選びやコーディネートをサポートする。
リニューアル後は、「パーソナルカラー簡易診断」を導入した。色彩診断士・骨格診断士の資格を持つスタッフや、接客歴30年のベテランスタッフなどが、ブランド認定のパーソナルスタイリストとして接客する。認定スタイリスト全員が、「パーソナルカラリスト検定」資格を保有。簡易診断の結果をもとに、利用者にはオリジナルのアドバイスカードを提供する。
まずは全国10店舗からスタート。半年ごとにEluraブランドのパーソナルスタイリスト認定試験を実施し、対象店舗を随時拡大していく予定だ。
サービスリニューアル後は「パーソナルカラー簡易診断」を導入(出典:アダストリア)
まとめ
こういった動きは、さらに進化しつつある。例えば“似合う”服や着こなしを追求してきたZOZOは、早期から自社のコーディネートアプリやスタイリストが接客する実験店舗を通じた取り組みを実践。これらで培った知見をもとに、現在はAIによる提案やバーチャル試着など時代の先端を行く提案を進める。
今後のファッション小売業界ではリアル人材によるコーディネート提案だけでなく、AIの最新技術を併用した対応が広がっていきそうだ。
執筆者/渡辺友絵
【記者紹介】
渡辺友絵
長年にわたり、流通系業界紙で記者や編集長として大手企業や官庁・団体などを取材し、 通信販売やECを軸とした記事を手がける。その後フリーとなり、通販・ECをはじめ、物 流・決済・金融・法律など業界周りの記事を紙媒体やWEBメディアに執筆している。現在 、日本ダイレクトマーケティング学会法務研究部会幹事、日本印刷技術協会客員研究員 、ECネットワーク客員研究員。
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