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2024.05.16

なぜ楽天はeスポーツイベントを続けているのかー仕掛け人に聞いた新しいスポンサードの形

「Rakuten esports cup」は、楽天が主催するeスポーツイベントで、人気のストリーマー、YouTuber、VTuber、タレントなどが参加する。2022年に第1回が開催されてから、おおよそ四半期に一度のペースで開催され、2024年4月には第6回が行われた。今では一度の大会につき、100万人以上が視聴する大きなイベントとなっている。なぜ、楽天グループがeスポーツに注力し、継続できているのか。その理由について、楽天グループ コマース&マーケティングカンパニー スポーツストリーミング&ライブコマース事業部 eスポーツ&MCN課 マネージャー 川畠佑幾氏に話を聞いた。楽天市場のメインユーザー層との違いに着目――はじめに、eスポーツイベントの開催に至った経緯を教えてください。楽天グループ 川畠佑幾氏(以下、川畠):弊社はECモールという特性上、これまでeスポーツ業界と直接的な関わりはありませんでした。ただ、楽天市場に出店いただいている店舗さまの中には、ゲーミングデバイスメーカーさまをはじめとした、eスポーツ関連企業さまが多くいらっしゃいます。ですので、まずはそういった店舗さまに対して、還元をしていく手段のひとつとして、「Rakuten esports cup」を企画しました。――なぜ「eスポーツ」に着目されたのでしょうか?川畠:いくつか理由はありますが、大きい部分として「ユーザー層の違い」があります。楽天市場は30~40代を中心に、幅広い層の方にご利用いただいています。ジャンルによりユーザー層は異なり、eスポーツ業界のメインユーザー層は、10~30代男性が多い傾向にあります。このような楽天と接点の少ない層へアプローチできる手段として、eスポーツに着目しました。他のイベントにはない、独自のショッピングチャンネル――「Rakuten esports cup」の特徴を教えてください。川畠:「Rakuten esports cup」の特徴のひとつは、試合と試合の合間にあるインターバルの時間をショッピングチャンネルのように活用している点です。通常、インターバルというと、次の試合を準備するために、MCによるトークや試合のハイライト配信が行われます。しかし、本イベントではライブコマースのように、具体的なところまで踏みこんだ商品紹介や、イベント限定のセール・クーポン情報発信などを行い、楽天ならではのお得な情報を発信する場としています。 ――eスポーツイベントとライブコマースといった、これまでにない組み合わせなんですね。川畠:そうですね。視聴者の方たちにとっても、今までにない経験だったからか、第1回イベントの際には、「ショッピングチャンネルじゃなくて、ゲームを観にきたのに」といったようなコメントが多く寄せられました。 しかし、第2回の際にそういったコメントは、ぱたりと止みました。むしろ、第2回以降のイベントでは、ショッピングチャンネルが始まったタイミングで冗談交じりに「本編が始まった」と言って、しっかり視聴いただけるケースが増えました。実際にゲーム時よりもショッピングチャンネルのときのほうが、リアルタイム視聴者数の伸びが良いという、おもしろい傾向もありました。 ――なぜ、第2回以降は視聴者の方々に受け入れてもらえたのでしょうか?川畠:視聴者からしても、楽天=ECモールのイメージが強いと思いますので「そもそも楽天が実施するeスポーツイベントで商品を売らないわけがない」といった点を、視聴者の方に理解いただけたのではないかと考えています。また、通常のショッピングチャンネルとは違い、イベントに参加いただいているストリーマーさんにも登場いただき、バラエティ要素よりの構成にしているので、純粋にコンテンツとして楽しんでいただけていると思います。さらに、ゲーミングデバイスなどであれば、必ず事前に紹介する商品をすでに使用しているストリーマーさんを探して、その方に生の声を語っていただくということも意識していますので、ショッピング体験としても価値のある場を提供しています。――イベントで採用するゲームタイトルはどのように選定していますか?川畠:本イベントは、店舗さまに還元するためのイベントとご説明しましたが、店舗さまを含めた「eスポーツ業界全体を盛り上げたい」という1本の軸を持って運営しています。eスポーツ業界というのは、イベントを支えていただけるスポンサーさんはもちろん、参加するストリーマーさん、プロプレイヤーの方々、さらにゲームを提供していただいているパブリッシャーさんも含まれます。今回、採用させていただいた「Warlander(ウォーランダー)」は、日本の制作会社が開発・運営しているタイトルであり、海外のゲームタイトルだけではなく、日本のゲームタイトルも応援していきたいなという思いから、今回採用させていただきました。ですので、この「eスポーツ業界全体を盛り上げたい」という軸から外れなければ、どのようなゲームタイトルでもよいと考えていますし、毎回さまざまなタイトルを検討しています。 2日間で1年分の売上を記録した出店店舗も――第6回まで開催されていますが、出店店舗さまからも反響はいかがでしょうか?川畠:直近で、本イベントの同時接続数は約20万人です。その後にアーカイブ配信の視聴数を足していくと、おおよそ100万人の方がイベントを視聴いただいているような計算になります。 ただ、eスポーツに限った話ではないですが、イベントへのスポンサードというのは、視聴者や参加者だけでは、なかなか効果を数値化するのが難しいものです。そのため、先ほどお伝えしたように「Rakuten esports cup」は、実際に商品を販売することで、スポンサードいただいている店舗さまにとって、直接売上につながるイベントとなっています。過去の例でいうと、イベント日から2日間で、その商品の1年分の売上が出たケースもあります。店舗さまからも「在庫なくなりました」という嬉しい悲鳴をいただきました。このように費用対効果が非常にわかりやすいイベントになっているからこそ、スポンサーさまに継続的にご支援いただき、ここまで本イベントが継続できているだと思います。 ――スポンサードによる広告やブランディングというよりも、販促的な効果が得られるということですね。川畠:はい。通常、スポンサー費用というと、広告予算扱いになることが多いと思いますが、本イベントのスポンサー企業さまの中には、販促費の一部として、予算を確保いただいているケースもあります。さらに、イベントを打ち上げ花火的にしないような「データの分析、共有」といった点も、店舗さまからの反響が非常に大きいです。楽天市場を経由して商品を購入いただくことで、どういった方々が、それぞれの店舗でどの商品に興味があったかといったデータが取得できます。そのため、イベント前から入念な打ち合わせを行い、イベント実施後に取得したデータを活用した分析と振り返りをして、次の販売戦略や商品開発に活かしていただけるような仕組みをつくっています。例えば、今までと違うターゲットに向けた製品を開発した際に、本当にその層に購入してもらえるのかといった、テストマーケティングの場としてもご活用いただけます。――どのような商品やカテゴリでもスポンサードは可能なのでしょうか?川畠:スポンサードいただけるのであれば、どのようなカテゴリでも問題ありませんが、やはり効果が出やすいものは、直接的なつながりのあるゲーミングデバイス関連です。もちろんゲーミングデバイス以外にも、グルメなどの食品関連など、eスポーツのユーザー層にアプローチしたいという店舗さまもいらっしゃいますので、店舗さまごとのニーズに合うようにスポンサード内容はカスタマイズしています。例えば、第1回のイベントの際には、店舗さまの売れ筋商品として、「かつおのたたき」と「モツ鍋」を楽天市場ショッピングチャンネルで紹介。スタジオでモツ鍋を調理して、MCの方が試食し、感想を言っていただくなど、生の声が伝わるような演出をしました。食品関連は原価率が高いので、なかなか費用対効果は出づらいのですが、可能な限り、紹介の仕方を工夫したり、提供の内容を変えたりして、視聴者に興味関心を持っていただけるような仕組みをつくっています。そのほかにも、新しくeスポーツに業界に参入したいという企業さまには、ストリーマーさんとの関係値をつくりながら、業界の情報などもお伝えするなど、楽天が業界とのつながりをサポートしています。本イベントで、一定の効果を得られれば、ほかのeスポーツイベントにスポンサードしても、ある程度効果が得られるとは思いますので、まずは業界への窓口としてご活用いただければと思います。キャスティングなど企画はすべて社内で行う――ストリーマーさんなど参加者からの反響もありますか?川畠:実は、参加者さまからの反響も良いです。esports cup とは銘打っていますが、かなりバラエティ寄りのイベントにしていますので、単純にゲームの実力だけを競うのではなく、運要素なども含まれています。ストリーマーさんからすると、あまりゲームの練習をしていなくても上位に食い込めるチャンスがあるので、そういった要素は評価いただいていると感じます。――参加するストリーマーさんを見ると、トレンド性などこだわりを感じます川畠:実は、本イベントの企画進行は、ほとんど社内のチームメンバーのみで行っています。キャスティングは、eスポーツやゲームに知見のあるスタッフが集まって、勢いのある方などを考慮して、ご招待しています。今は、ストリーマーさんが中心になっていますが、日本でも徐々にプロシーンが盛り上がっていますので、今後はプロプレイヤーに焦点を当てることも考えています。「Rakuten esports cup」は、そういった時勢に合わせて、内容が変わるイベントだとご認識いただければ。 ――今後の展望があれば教えてください。川畠:ここまでお話させていただいた総括にはなりますが、eスポーツ業界はまだまだビジネスモデルがしっかりと確立されていない業界かつ、恩恵にあずかっている企業さまもまだまだ多くない印象です。そういった企業さまの架け橋に、楽天グループがなれるように、今後もおおよそ四半期に一度のペースで継続して、実施していきます。

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