通販通信

アマゾンが描く「先回りEC」とは?DB体験レポ…NY通信(8)
2016/03/09

定期的購入は、ボタンひとつで注文できる『Amazon Dash Button』で

ニューヨークの寒い冬を快適に過ごす4つのAmazon関連サービスを連載で紹介していますが、次に紹介するのは、私が月に1〜2回程度使っている『Amazon Dash Button』。

同サービスは、特定の商品と紐付けられた専用のボタンを押すだけで、商品がAmazonのカートに入り、そのまま自動注文されるというものです。私はペーパータオルを頻繁に使うので、台所にペーパータオルと紐付いた『Amazon Dash Button』を置いています。注文から2営業日で届くように設定してあるので、ペーパータオルが残り1〜2本になったタイミングでボタンを押しています。

今回は体験レポートだけでなく、この『Amazon Dash Button』を通じてAmazonがどんな未来を想像しているのかを考えていきたいと思います。

それでは体験レポートです。

図1

写真(上)は『Amazon Dash Button』のWi-Fi対応の小型端末です。この端末は、右側にある白いボタンを1回プッシュするだけで商品を注文できまる「お買い物専用ボタン」となっています。

ボタンにはそれぞれ商品が紐付けられており、よく購入する商品や、月に1回必ず買うものなどを設定し、端末をキッチンや洗面所などに貼り付けておきます。自宅から商品が無くなりかけたタイミングでボタンを押すと、自動でAmazonに注文が入るという仕組みになっています。また、オプションもあり、本数などは好みに応じて選べます。

現在のところ『Amazon Dash Button』は、AmazonのPrimeメンバー(年会費99ドル)を対象に販売されています。ボタン1個あたりの価格は、4.99ドル。

『household Supplies(家庭用品)』『Grocery(食料品)』『Beverages(飲料)』など6つのカテゴリで29種類のボタンがあり、2015年10月1日のBUSINESS INSIDERの記事によると、すでに30〜50万個の『Amazon Dash Button』が発送されているそうです。

『Amazon Dash Button』経由で初めて注文した場合に限り、4.99ドルの割引が適用されます。(私が利用した時には、なぜか1回目では割引されず、2回目で4.99ドルの割引がされました)

製品の動画紹介はこちらからご覧いただけます。

図2

こちらが外箱(上)。私はキッチンペーパーを良く使うので、そのボタンにしてみました。

図3a

これが中身(左)。手のひらサイズの小さなボタンです。これが裏側(右)。

準備の手順は3つで、とてもシンプルです。
(1)AmazonアプリをApple App Storeなどからダウンロード
(2)Amazon Primeアカウントでサインインし、ボタンをWi-Fiに接続
(3)アプリ内で、ボタンとどの商品(Bountyの中でも1本単品なのか数本セットなのかなども合わせて)を紐付けたいか選択

これで準備はOK。他に特徴としては、以下のようなことが挙げられます。

・一度、上記(3)の選択をすれば、ボタンを押すだけで自動的に対象商品をオーダー
・ボタンを押すと、Amazonから「注文確認メール」が届き、キャンセルしたい場合にはその場ですぐに取り消せる
・一度注文すると、商品が発送されるまで次の注文は受け付けない仕様になっているので、重複する恐れがない

お母さんが注文していたのに、気付かずお父さんがボタンを押した…といったような場合でも、注文が被らないので一安心ということですね。家庭というのは、些細なことでもケンカに発展しやすい場ですから…(笑)、これは有り難い機能!

ということで早速、注文してみました!

図4a

ボタンを押すと(左)、白いランプが点灯するので(右)、それを確認してしばし待機。無事注文が終わると、ランプが緑色に変わります(下)。うまく注文ができない場合、ランプが赤色になることもあるそうです。

図5

これで終了! あとは注文確認メールが届くので、キャンセルの必要がなければ、何もしないでおくと数日後に商品が到着します。うちは2day shippingで設定しているので、2日後に来ました!(下)

図6

さて、Amazonがなぜこの商品を開発、販売したか分析した記事があったので、その記事の内容をベースにEコマースの未来を考えていきたいと思います。

BUSINESS INSIDER(15年9月8日)の記事によると、「表面的には、消費者の利便性を叶える」ために作られた商品ですが、一方で、この商品を通じて蓄積される膨大なデータにこそ魅力がある、とも考えられます。

記事にあった例を紹介します。
「夕方4時に自宅に電球が届く。私(消費者)は、『どうしてここに電球が?』と言う。そして30分後、電球が切れる。Amazonは電球が切れることを知っていたのです」。

この例こそ、Amazonが描く未来と言っても良いでしょう。

消費者が『Amazon Dash Button』を通じて買い物をすればするほど、Amazon側にはその消費者が、「いつ」「何を」欲したかというデータが溜まり、「この消費者は、このタイミングでこの商品が必要になるはず」と、消費者が気づくより先にAmazonから商品を提供できます。

これは、とんでもなく凄いことだと思います。消費者主体だったEコマースの流れが完全に逆になり、販売主が主体になるわけですから。販売主が消費者をリードできれば、これほど強いことはありません。

米国のPrime会員は年間99ドルをコミットして、Amazonを利用しているわけですが、ここまで自分にとって都合の良いサービスになれば、ますますAmazonは生活に欠かせないサービスとなり、有料会員をやめにくくなります。少なくともうちは、絶対やめないと思います。

もちろんここまで行くにはもう少し時間がかかるでしょうし、先回りされるのは気持ち悪い…と嫌う消費者も出てくるはずなので、そこをどうクリアしていくか課題は残りますが、そう遠くない未来で「先回りEコマース」が実現されると予測されます。

Amazonがこの小さな端末で切り開く、”ビッグデータ新時代”に期待したいと思います。

(公文紫都)

※体験レポートは「HANDS LAB米国EC・小売 HOT NEWS!【7】から

■アマゾンでNYの冬も快適!『Prime Now』体験レポ…NY通信(7)

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